僕はパリコレにでることができない|一日三食もくえねえよ。

「ちゃんと食べてますか?」

だれしも初対面やひさしぶりの相手にいわれやすい言葉があるだろう。

僕の場合はダントツでこれだ。ちなみに二位は「なんか身長のびました?(僕は他人の頭のなかで身長が低めに記憶されるらしい)」で、三位は「薄着ですね(冬限定)」である。

猫も杓子も老若男女これだ。アメリカ映画にでてくるグラサンをした警官ばりに「お前にホットドッグをおごってやろうか?」くらいの感じで。

そこで「一日三食たべると体調がわるくなるんです」というと「マジかよ」という反応をされる。次にはこのひとアホなのかなという顔をされる。

「お腹が減らないかぎり食べなくていいと思ってるんだよ。そもそも現代人は〝一日三食〟という宗教を盲信しすぎなのでは? 腹が減ってもないのに食事の時間がきたからと食べる方がおかしいよ――そもそも野生生物はそんな律儀に食べない」と主張すると、これまた、やっぱりこのひとアホなのかなという顔をされる。

ガマンしているのでない。腹がへらないのだ。そんなにアクティブな日常をおくっていないからかもしれない。

だいたい1.5食くらいのイメージ。たまにの喫茶店のモーニングもスタイルとして好むだけで、実際、食べなくてもなにもこまらない。

学生時代「もしかして人は食べなくても生きていけるのかな?」と世の真理にたどりつきかけたときもあったが、そのときはさすがにアカン感じになった。かわりに人間は食べないと体調が悪くなるだけという真理を学ぶことになった。

朝から友人といたときに朝食をとって、数時間後くらいに、すぐに昼食をとろうというので「どんだけ腹減るねん」と抗議してキレられたこともあった。いまでも、内心、なんでこいつらこんなに腹減るんやろうと思っている。

おかげでガリガリだ。

すこし前に「パリコレが過度なダイエットを防止するために、ある基準以下に痩せているモデルの出場禁止」を決めたらしい。

なんと、僕は、その〝ある基準以下〟だった。そしてどうやら自分はパリコレにでることができないようだと知った。しかも女子の部で。

ちなみにこの文章も、朝から桃しか食べずに書いている。二切れ。