あべのハルカス美術館「新印象派展」に、最終日のかけこみをしてきました。
そこそこのにぎわいという感じで、さくさく見物できました。
美術館、それも休日というと、子供の声や、となりの女性に講釈したがる男性。
なぜか「はえー」と、心の声をもらす、昔のお嬢さまがた、といった音声がつきものです。
それらを、頭のなかでシャットアウトしつつ、ときには、ぷんぷんしながらめぐりました。
イメージとしては、印象派のモネ、野獣派のマティスにはさまれて。
新印象派のスーラ、シニャックがメインでした。
素人の感想なんておもしろくないので、おおざっぱにまとめると。
点画がほとんどで、慎重にかさねられた色が「あらきれいね」といったところ。
個人的にはもうすこし、ひねくれたものが好きなのかもしれません。
が、ひとつだけ、特別に心ひかれた絵がありました。
こういう出会いがあるから、寝不足でも、足をはこばなくてはならないのです。
それがこちら、ベルト・モリゾ作「ブージヴァルの庭」でした。
隅の、壁にかかってるのを、ぼけーっとみてました。
いかがでしょう。
まったく、なにもきれいにみえないでしょう。
これは、実物でしか感動できないような気がします。
僕もいまみてがっかりしました。
実物は、庭と花と光がとけて、なんともいえない(だからこそ絵にするのかも)美しさでした。
女性的なやさしさがあって、自分まで、そのきれいな世界にとけこめるようで。
まわりで、男たちの作品が「時代の空気を、色彩を……」と議論するなか、
ひとりだけ「絵がきれいならいいじゃない」なんて、すましてそうな存在感でした。
本当にいい絵だなーと。
俗ないいかたをすると「軽井沢に別荘があるならかけたいわね」という感じかも。
そして作者ベルト・モリゾは、なんとマネの奥さんでした。
モデルで、画家でもとはきいてましたが、まさかこんな、すてきな絵をかいてたんだなあと感動。
「ある時期、パリの女といえば彼女であった」と、だれかが書いてた気がします(たぶん)。
そんな美しいひとに、美しい絵をかかれたら、もうなにもできないよなとおもいました。
うん、あらためて考えましたけど、もう本当になにもできない。
そしてよく考えると、彼女はもういないのですね。
かるい失恋気分です。
まあ、たった一枚でも、心にひっかかる絵があればよしとしましょう。
百年前のひとの精神が、こちらにびびっとくる、そういうのが、僕は大好きです。
この「新印象派展」は、東京に場所をかえて、三月末までおこなうようです。
ぜひよろしければ、という感じでした。